「妖怪」という言葉の初出は、平安時代に成立した『続日本紀』とされています。「大祓、宮中にしきりに、妖怪あるためなり」という記述があり、ここでは具体的な実体を指す言葉ではなく、「人知を超えた怪し
ヨーロッパで、「妖怪」にあたる存在が多数確認できる伝承といえば、ギリシア神話が挙げられるでしょう。ギリシア神話は古代ギリシアより語り伝えられる伝承で、様々な神々が登場する物語です。ギリシア神話の神々は人々に恩恵を与えるばかりではなく、中には同じ神々や人間に恐怖を与える「異形の姿をした神」もいます。これらは「怪物」と形容されるような存在でした。(例:ゴルゴーン三姉妹)
ギリシア神話の「怪物」が、日本の「妖怪」にあたる存在です。日本でも元々それが人間に幸・不幸どちらをもたらすものであれ、人知を超えた存在は全て「神」と呼ばれていました。そして人間に幸福をもたらすものはそのまま神として崇められ、人間に恐怖や実害を与える存在は「妖怪」として恐れられるようになった経緯があります。※このあたりのことは【妖怪の定義】の記事で詳しく解説しています。
ヨーロッパ発祥で日本でも有名な妖怪としては、「妖精(フェアリー)」が挙げられます。神秘的なイメージのある「妖精」を「妖怪」と呼ぶのは違和感があるかもしれませんが、中国では「妖怪・妖魔」などと同次元の「異形の存在」を指す言葉として使われています。ゴブリンやトロールといった醜悪に描かれることが多い、まさに「妖怪」「怪物」といった呼び名が似合う生物も、実は妖精に分類されています。