二口女(ふたくちおんな)は後頭部に口がある女の妖怪。人前では決して食事をせず、誰も居ない隙を見て数人分の食事を平らげるという。
小袖の手(こそでのて)は、着物に憑く妖怪。着た者は病に伏し、身の回りで様々な怪異が起こる。
表記・呼称 | 小袖の手(こそでのて) |
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簡易解説 | 着物に憑く妖怪。着た者は病に伏し、身の回りで様々な怪異が起こる。 |
危険度 | ★★★★★★★★★★ |
容姿 | 人間型 動物型 植物型 器物型 建造物型 自然物型 |
能力・特性 | 呪い |
伝承地 | |
出現場所 | 山 水 里 屋敷 |
記録資料 | 『狂歌百物語』、『妖怪画談全集 日本篇 上』 |
登場創作物 |
鳥山石燕の妖怪画集『今昔百鬼拾遺』では、着物の小袖の袖から不気味に女の手だけが伸びている様子が描かれています。
着ていた人間の恨みが妖怪に変わったものといわれています。着物に憑く妖怪なので付喪神の一種といえますね。
小袖の手は総じて危険な妖怪といえます。うっかり憑いた着物を買ってしまうと、着た者に災いが起こり、周囲でも様々な怪異が起こるといわれています。その危険性を示すものとして、民俗学者・藤沢衛彦の著書『妖怪画談全集 日本篇 上』にてこのような説話が収録されています。
江戸時代初めの京都で、松屋七左衛門という男が、古着屋で娘の為に着物を買ってあげました。しかしその着物を着た娘が重い病気にかかってしまったのです。その他にも袖の口から女の手が出ていたり、家の前に着物を着た女が立っていたと思ったら急に消えたり、周囲でおかしなことが次々と起こります。
そして買った着物をよく見てみると肩先から斜めに大きな斬り跡があり、縫い付けてあったそうです。その着物は武家に仕えていて手打ちで斬られて死んだ女性が着ていたもので、その怨念がこもっていたのだそうです。その後、着物は寺に収め供養すると、娘の病気は治り怪異は起こらなくなりました。