最古の書物『古事記』には有名な妖怪「土蜘蛛」の名が登場する(なおイラストは江戸時代の『今昔画図続百鬼』より)
妖怪の歴史は書物で確認できる限りは奈良時代にまで遡ることができます。この時代の書
平安時代の伝承には鬼が頻繁に登場します。そして大体が怨霊の化身だったり、人食いだったり、とりわけ人に害をなす恐ろしい存在として描かれています。
百鬼夜行という都の夜を歩く化物行列が登場するのもこの時代です。平安時代というとなんとなく上品で優雅なイメージがあるかもしれませんが、実際は鬼や妖怪が跋扈する恐ろしい時代だったのです。
登場する妖怪:天狗、鬼
平安時代を代表する説話集「今昔物語集」。その仏法説話の中で、天狗に関する多くの描写が確認できます。ここでは天狗は翼を持ち空を駆る「魔物」として描写され、仏教に敵対する存在に位置づけられています。
「大祓、宮中にしきりに、妖怪あるためなり」という記述があり、妖怪という言葉の初出はここと考えられています。ただしここでの妖怪というのは実体的な化物のことではなく、なにかよくわからない怪しい・妖しい現象を指す言葉として使われています。初出はここですが、妖怪という言葉はまだまだ流行りませんでした。
登場する妖怪:地獄の鬼
地獄草紙は12世紀に成立した地獄を描いた絵巻物です。地獄の番人(獄卒)として鬼が登場します。絵巻物の「鉄磑所」では、鬼が地獄に落ちた罪人を鉄の臼ですり潰す恐ろしい様子が描画されています。
登場する妖怪:元興寺(がごぜ)
日本霊異記は平安時代初期に書かれた、最古の説話集です。この説話集には元興寺(がごぜ)は、飛鳥時代奈良県の元興寺(がんごうじ)に現れたといわれる妖怪です。人食いとして恐れられ、寺で悪さをしたものが化けた妖怪といわれています。