二口女(ふたくちおんな)は後頭部に口がある女の妖怪。人前では決して食事をせず、誰も居ない隙を見て数人分の食事を平らげるという。
文車妖妃(ふぐるまようひ)は文車の妖怪。捨てられた古い恋文に積もった執念や怨念から生まれた。
表記・呼称 | 文車妖妃(ふぐるまようひ、ふぐるまようび)、文車妖鬼(ふぐるまようき) |
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簡易解説 | 文車の妖怪。捨てられた古い恋文に積もった執念や怨念から生まれた。 |
危険度 | 不明 |
容姿 | 人間型 動物型 植物型 器物型 建造物型 自然物型 |
能力・特性 | 不明 |
伝承地 | 不明 |
出現場所 | 山 水 里 屋敷 |
記録資料 | 『百器徒然袋』 |
登場創作物 | ゲゲゲの鬼太郎、女神転生シリーズ、ぬらりひょんの孫、みなぎ得一作品、貧乏神が! |
鳥山石燕の『百器徒然袋』では、文車から手紙を引っ張りだしている恐ろしい形相の女性の姿として書かれています。
石燕オリジナルの妖怪なので、妖怪についての記録は『百器徒然袋』の解説文以外になく、どのような怪異を起こすのかとか、人間に害はあるのかとか、詳しいことがわかりません。
しかしそれでも「手紙を運ぶ器物から生まれた妖怪」という活かしやすい設定から、現代作品における登場機会は少なくなく、その中では物知り司書とか情報伝達屋とか、主人公の助っ人的な立ち位置が与えられることが多く、悪役として登場することは少ない印象です。
文車とは本や手紙などの書物を入れて運ぶ為の車のことです。主に貴族とか天皇とか偉い人の邸宅などで使用されていた書物を運ぶのに使われ、火事などの非常災害に備えとして置かれていました。
そして石燕による解説文には以下のように記されています。
「執着の思ひをこめし千束の玉章(たまづさ)にはかかるあやしきかたちをもあらはしぬべしと夢の中に思ひぬ」
ようは捨てられた古い恋文に積もった執念や怨念が変化して妖怪になったものとしています。石燕画の恐ろしい形相は、まさにその怨念の反映といったところでしょうか。