「妖怪」という言葉の初出は、平安時代に成立した『続日本紀』とされています。「大祓、宮中にしきりに、妖怪あるためなり」という記述があり、ここでは具体的な実体を指す言葉ではなく、「人知を超えた怪し
妖怪には実に様々な種類が存在しますが、妖怪というのは人の心の反映ですから、明確に何種類ということはできません。人の数だけいると言えます。
しかし「雪女」のように人の姿をしているのか、「犬神」のように獣の姿をしているのか、「からかさ小僧」のように器物が化けた姿をしているのか、というように大枠で分類することは可能です。
風俗史学者の江馬務さんは以下のように分類しました。
→現世的・精神的・輪廻的・実体的
現世的 | 輪廻的 | |
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実体的 | 狸、狐、化け猫、二口女(人間や動物が生存中に化けたもの) | 火の玉(死者の遺念が現実の火となって現れたもの) |
精神的 | 精霊(自然物に宿る霊的なもの) | 幽霊(死者の精神が姿を表したもの) |
→人間的・動物的・植物的・器物的・建造物的・自然物的、もしくはこのいずれかの複合的な容姿。
容姿による分類 | 妖怪名 |
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人間的 | 雪女(ゆきおんな)、天狗(てんぐ)、鬼(おに)、座敷童子(ざしきわらし)、ろくろ首、二口女(ふたくちおんな)など |
動物的 | 狸(たぬき)、狐(きつね)、猫又(ねこまた)、鼬(いたち)、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)など |
植物的 | 木霊(こだま)、人面樹(じんめんじゅ)、樹木子(じゅぼっこ)、彭候(ほうこう)、芭蕉精(ばしょうのせい)など |
器物的 | 付喪神(つくもがみ)、からかさ小僧(からかさこぞう)、塗り壁(ぬりかべ)、雲外鏡(うんがいきょう)など |
建造物的 | 迷い家(まよいが)など |
自然物的 | 鬼火(おにび)、蓑火(みのび)、ジャンジャン火、不知火(しらぬい)など |
複合的 | 火車(器物+自然物)、河童(人間+動物)など |
哲学者の井上円了さんは妖怪を「虚怪」と「実怪」に分類し、さらに虚怪には偽怪と誤怪、実怪には仮怪と真怪があるとしました。
虚怪 |
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実怪 |
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ようするに本物の妖怪の可能性があるのは真怪のみで、大体が嘘か偽物か勘違い、恐怖心からの思い込みによるものだということなんですね。このような観点から井上円了さんは妖怪研究を「自然科学を解明する為のもの」であると位置づけました。
また出現する場所によっても、水の妖怪、里の妖怪、山の妖怪、屋敷の妖怪、といったように分類することができます。