付喪神(つくもがみ)は、古い道具に宿るといわれる精霊。付喪神が宿った道具を捨てようとすると、恨みから悪戯をされる。
泥田坊(どろたぼう)は、「田んぼを返せ」と叫ぶ一つ目の妖怪。
表記・呼称 | 泥田坊(どろたぼう) |
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簡易解説 | 泥田坊(どろたぼう)は、「田んぼを返せ」と叫ぶ一つ目の妖怪。 |
危険度 | 不明 |
容姿 | 人間型 動物型 植物型 器物型 建造物型 自然物型 |
能力・特性 | 泥の体 |
伝承地 | 山形県 |
出現場所 | 山 水 里 屋敷 |
記録資料 | 『今昔百鬼拾遺』、『東北怪談の旅』 |
登場創作物 | ゲゲゲの鬼太郎 |
「泥田坊」は汚泥でできた妖怪で、田から現れ「田んぼを返せ」と絶叫します。鳥山石燕によるオリジナル妖怪であり、『今昔百鬼拾遺』の解説文を要約すると以下のような経緯で生まれた妖怪のようです。
ある北国に、雨にも負けず風にも負けず、来る日も来る日も働いて、子供達に立派な田んぼを残した老人がいました。ところが老人が死んだ後、子供達は親が遺した田んぼを保つために働くことはせず、酒ばかり飲んで遊び尽くしの毎日を送っていたのです。そしてついには田んぼを他人に売ってしまいました。老人の霊は、一つ目の全身真っ黒の妖怪となり、「田んぼを返せ」と叫ぶようになったといいます。
おそらくこの妖怪には、「先人の遺産は大切にしないと駄目だよ」というメッセージが込められているのだと思います。
鳥山石燕による画集『今昔百鬼拾遺』の中では、片目で三本の指しかなく、泥で出来たような上半身のみ、田んぼから出している姿が書かれています。人間型であっても、一つ目の妖怪・神※というのは非常に多いのですが、これは人間と神との違いを明確にする為といわれています。
※妖怪と神の区別は曖昧で、人間の都合で判断されている部分があります。
『泥田を棒で打つ』という「何もかも台無しにする・無茶苦茶にする」という意味の諺があります。「泥田坊」という名称は、上述したエピソードの内容がまさに『泥田を棒で打つ』と言うにふさわしい内容(親がせっかく立派に育てた田んぼを台無しにした。)だったことから、石燕が名付けたという説があります。