表記・呼称 | 木霊、木魂、木魅(こだま) |
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簡易解説 | 100年以上の年輪を重ねた樹木に宿る精霊。切ったり焼いたりすれば不幸が降りかかるが、供物を捧げるなどすれば恩恵を与える。 |
危険度 | ★★★★★★★★★★ |
容姿 | 人間型 動物型 植物型 器物型 建造物型 自然物型 |
能力・特性 | 神通力 |
伝承地 | 全国 |
出現場所 | 山 水 里 屋敷 |
記録資料 | 『古事記』、『和名類聚抄』、『源氏物語』 |
登場創作物 | もののけ姫、鬼灯の冷徹、女神転生 |
木霊(こだま)は、100年以上の年輪を重ねた樹木に宿る精霊といわれています。また精霊が宿った樹木を木霊とも呼びます。いわゆる樹木崇拝の一種であり、切ったり焼いたりすれば不幸が降りかかり、供物を捧げるなどすれば人々に恩恵を与えると信じられています。
神通力に似た力を持つという説もありますが、こちらが悪さをしなければ、危害を加えてくることがないので、比較的安全な妖怪といえるでしょう。年輪を重ねた木は、労り大切にしましょう。
■木霊の記録
木霊に関する記録は、かなり古いものにも確認できます。『古事記』では木の神として「ククノチノカミ」の記述がありますが、これは木霊と同種の存在と考えられています。また平安時代の辞書『和名類聚抄』には「古多万(コダマ)」が木の神の和名として記されています。
■山彦と木霊
山や谷に音が反射して返ってくる現象を「山彦」といいます。この現象は木霊が返事をしている為であるとされ、同様の現象を「木霊」と呼ぶ場合もあります。
木霊の外見は様々な言い伝えがあり、火の玉、獣、人の姿にもなるといいます。木霊は森の中を俊敏に動き回ることでも知られています。
能の芭蕉に出てくる「芭蕉精」は木霊の一種と考えられています。植物の芭蕉の霊が、人の姿になって人を化かすといいます。また法華経を読む僧の前に姿を現し、「草や木も死んだら仏になれるのか」と聞いてくるという伝承もあります。
彭候は中国に伝わる木の精で、千年の年輪を重ねた樹木に宿るといわれています。黒い体毛に、人面で、尻尾がありません。中国の怪異説話集『捜神記』によると、ある日敬叔という人が、クスノキを切っていると中から血が出てきたそうです。中を見てみると動物が血を流しており、それが彭候だったのだとか。ちなみにこの彭侯の伝承は日本にも伝わり、鳥山石燕による妖怪画集『今昔百鬼拾遺』でも中国の妖怪として紹介されています。
沖縄県ではガジュマル、アコウなどの木が年輪を重ねると、「キムジナー」「キーヌシー」などと呼ばれる木の精になるとされています。沖縄県では木を伐採する時、キムジナーに祈祷するという習わしがあります。夜中に倒木などないのに、倒木の音がする時、それはキムジンが苦しむ声だといわれています。また時には夜、家に忍び込んで寝てる人を押さえつけたり、提灯の火を消したり、いたずらをすることもあるそうです。
人間の顔のような花を咲かせた不気味な木です。鳥山石燕による江戸時代の妖怪画集『今昔百鬼拾遺』で紹介されている中国に伝わる木です。笑いかけると、笑いで返しますが、人語を理解することはありません。サザンカの木の精霊と考えられています。
樹木子は多くの戦死者を出した戦場跡地に生えるとされ、死者の血を吸って妖怪と化した木の化け物です。傷がつくとそこから血がにじみ出る。下を通る人間を捕まえ、枝を管のように使って血を吸い取ります。人々はこの木の祟りを恐れ、木の幹に仏像を彫ったので、仏桂とも呼ばれています。