木霊(こだま)は、100年以上の年輪を重ねた樹木に宿る精霊。切ったり焼いたりすれば不幸が降りかかるが、供物を捧げるなどすれば恩恵を与える。
山彦(やまびこ)は山の妖怪・神・精霊。向こうの山へ大声で叫ぶと、山彦が発した声と同じ声を返してくる。
表記・呼称 | 山彦(やまびこ) |
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簡易解説 | 山の妖怪・神・精霊。向こうの山へ大声で叫ぶと、山彦が発した声と同じ声を返してくる。 |
危険度 | ★★★★★★★★★★ |
容姿 | 伝承により様々 |
能力・特性 | 声真似 |
伝承地 | 鳥取県、高知県、長野県 |
出現場所 | 山 水 里 屋敷 |
記録資料 | 『画図百鬼夜行』 |
登場創作物 | ゲゲゲの鬼太郎、悪魔くん、仮面ライダー響鬼 |
山の上で、谷を隔てて向こうの山へ「ヤッホー」と大声で叫ぶと、「ヤッホー」と同じ声が向こうの山から帰ってきますよね。登山における醍醐味だったりします。昔の人はこの現象を、山の妖怪や精霊が声を真似し叫び返しているものと考え、「山彦(やまびこ)」と呼びました。
樹木の精霊「木霊」が応えた声ともいわれることから「木霊」とも呼ばれます。鳥取県では同様の現象を「呼子」「呼子鳥」と呼びます。
山彦は声を返してくるだけで、害はないものですが、山彦と似た妖怪に「山おらび」という妖怪がいて、こいつは危険です。というのも、山に向かって「ヤイヤイ」と叫ぶと、「ヤイヤイ」と声が返ってくるのですが、これを繰り返していると声が段々と近づいてきて、しまいには叫んだ人は死んでしまうのです。
山彦現象は、形が見えない怪異なので、書かれる姿は様々です。鳥山石燕の『画図百鬼夜行』、佐脇嵩之で『百怪図巻』で山彦の姿が描かれていますが、犬とも子牛ともカワウソともサルとも言えない、なんとも奇妙な獣の姿をしています。何から着想を得たのか気になります。
山彦の「彦」という字は、天照大御神の子孫を意味する「日子」とも書きます。昔の人ははじめ山彦現象を山の神の仕業と考えたので、「山彦」と呼び始めたのです。
山彦現象の正体は、天狗、山爺といった山の妖怪の仕業、木霊などの山の精霊の仕業、山の神の仕業、怪鳥の仕業などなど地方によって伝承は様々ですね。
科学的な解釈では、山に音が跳ね返って戻ってくる為に起こる現象だとわかっているのですが、昔の人はこれを神や妖怪が叫び返しているのだと考えたのです。