表記・呼称 | 付喪神(つくもがみ)、九十九神(つくもがみ) |
---|---|
簡易解説 | 古い道具に宿るといわれる精霊。古い道具を捨てようとすると、その恨みから悪戯をされる。 |
危険度 | ★★★★★★★★★★ |
容姿 | 人間型 動物型 植物型 器物型 建造物型 自然物型 |
能力・特性 | 悪戯 |
伝承地 | 全国 |
出現場所 | 山 水 里 屋敷 |
記録資料 | 『付喪神絵巻』 |
登場創作物 | 妖怪ウォッチ、轟轟戦隊ボウケンジャー、つくもがみ貸します |
付喪神は古い道具が妖怪に化けたものです。付喪神の伝承で有名な資料といえば、室町時代の御伽草子系の絵巻物『付喪神絵巻』が挙げられるでしょう。この絵巻はざっくり以下のような物語作品となっています。
すす払いの日に捨てられた古い道具が付喪神となって、人や物をさらい里の人々を困らせていた。しかし護法童子や尊勝陀羅尼などの神々に制圧され諭されたことで悪行を悔い改めた。後に罪を償う為に出家して真言宗を学び、深山で修業した後に成仏したという。
この物語は、付喪神を通して、物を大切にする心構えを説いているのだと思います。
ちなみにこの絵巻物で「付喪神」という表記が出てくるのは、冒頭の「陰陽雑記云、器物百年を経て、化して精霊を得てより、人の心を誑す、これを付喪神と号すといへり」という詞書きのみで、それ以外では「妖物」「妖物ども」「化生のもの」「器物の妖変」などの呼称が使われています。
付喪神が描かれている代表的な絵巻物『付喪神絵巻』では、その姿は人間の形だったり、鬼の形だったり、獣の形だったり様々な模様です。古い道具の数だけ存在する付喪神が、全て一様の姿を持つわけではないみたいです。
昔の人はあらゆるものに霊魂が宿ると考え、人工物でも古くなれば霊力が強まり、自分で動き出すようになると信じられていました。そして長年使っていて古くなった道具を捨てようとすると、道具に宿った霊が恨みで悪さをすると戒められたのです。
また付喪神が生まれたのは、技術革新で古い道具が次々と捨てられるようになった室町時代以降といわれています。
古来より日本では、「道具は百年経つと化けて人間に悪さをする」という俗信があって、それを受け古い道具は九十九年で捨てられてしまうことが多かったんですね。そして今度は、「あと一年で命を得られた道具の無念が姿を現した」という俗信も生まれてきました。
「つくもがみ」の「つくも」とは「百年に一年足りない」の意、つまり「九十九年」のことです。さらに老女の白髪を表す言葉として「つくも髪」という言葉があり、それを受けて、長い年月⇒九十九年(つくも)という解釈から、「つくもがみ」が古い道具の精霊の呼称として使われるようになりました。なので「九十九神」と表記することもあるのです。