妖怪「鼬」の伝承・正体
鼬(イタチ)は妖怪視される動物の一種。群れは凶事の前兆。キツネやタヌキより化けるのが上手い。

妖怪「鼬」の伝承・正体


鳥山石燕『画図百鬼夜行』より「鼬」

 

 

鼬の基本情報

表記・呼称 鼬(イタチ、テン)、
簡易解説 妖怪視される動物の一種。群れは凶事の前兆。キツネやタヌキより化けるのが上手い。
危険度 ★★★★★★★★★★
容姿 人間型 動物型 植物型 器物型 建造物型 自然物型
能力・特性 心を読む、変化
伝承地 新潟県、三重県、福島県
出現場所  水 里 屋敷
記録資料 『和漢三才図会』
登場創作物 ぬらりひょんの孫

 

 

 

鼬の伝承

動物としてのイタチは、ペットとして人気があるフェレットの仲間です。細長い胴体に短い手足、クリっとした目などとても愛嬌のある見た目をしています。しかし古来日本では、イタチは数百年生きたら魔力を持ち妖怪になると考えられました。

 

各地での様々な言い伝え、古書の記録などから、鼬が引き起こす怪異は、数ある妖怪動物の中でも、特に厄介なもののようです。

 

■不吉の前触れ?
実際江戸時代中期の百科辞典『和漢三才図会』には、イタチの群れは火災の前触れ、イタチの鳴き声は凶事の前触れである、と記録されています。

 

■貧乏になる?
新潟県では、イタチが群れで騒いでいる音が、6人で臼を搗く音に似ているということで、「鼬の六人搗き」と呼ばれています。この音を聞いた者は、家が衰えるとか栄えるとかいわれています。

 

■心を読む?
イタチが後ろ足で立って、人の顔をじっと見つめている時。それはその人の心を眉の動きから読んでいるといわれています。なのでイタチに見つめられたら「眉に唾をつけろ」という教えがあるのです。信用できないもののことを「眉唾物」といいますが、この教えに由来している言葉です。

 

■タヌキやキツネより化け上手??
イタチは、キツネやタヌキと同様に化ける能力を持っているとされています。三重県では「狐七化け、狸八化け、貂九化け」なんていわれ、タヌキやキツネよりも化けのバリエーションが豊富とされています。福島県では入道坊主はイタチが化けたものとされ、入道坊主を見上げている人に噛みついて殺すといわれています。

 

なんかもう不吉の塊といった感じです。タヌキやキツネは人を助けたとか、親切にしたという伝承もありますが、イタチにはそういった話がほとんど見当たりません。しかもタヌキやキツネ以上に頭が良く優秀というのだから、妖怪のイタチには絶対に遭遇したくないし敵に回したくないですね。