妖怪の定義とは|神との違いは何か

昔の人にとって、自然は今よりずっと身近な存在でした。しかし今では常識とされるような科学的見識など共有されていない時代…。自然の中で起こるあらゆる現象は、ただひたすらに不思議で不気味なものでもあったのです。

 

そのうち人は理解できない奇怪な自然現象、または怪奇的(に見える)な存在を、畏怖の念を込めて「妖」「物の怪」、「百鬼夜行」、「魑魅魍魎」などと呼ぶようになりました。これが「妖怪」の始まりです。

 

もともと古代の人のアニミズム的な価値観には、どんな「事象にも霊的なものが宿る」という精霊信仰があり、「妖怪」とはその信仰の延長線上のようなものです。

 

妖怪は「化け物」、「お化け」などとも呼ばれますが、これは妖怪の多くが様々な事物に姿を変えることができることからです。

 

 

神と妖怪の違い

もともと神と妖怪は同次元の存在と考えられていました。それが人間に恩恵をもたらすものであれ、危害を加えるものであれ、人知を超えた存在に変わりありません。

 

雷、台風、地震などなど恐い自然現象は、人知を超えた存在が起こしているものと考え、お供え物や生贄をささげることで恐怖心を治めていました。

 

そしてそのうち幸福をもたらす存在は神として「崇める」対象に、不幸をもたらす存在は妖怪として「祓う」対象になりました。

 

神が零落した姿か

また妖怪は信仰が衰えて零落した神の姿という考えもあります。例えば一つ目小僧は山の神が零落し畏怖の念だけが残った姿ともいわれていますし、ヤマタノオロチは元々は祀られる土地の神で、スサノオに退治されて妖怪に転落した存在もいます。

 

妖怪は悪者か

妖怪が人間に危害を加えるのは、人間側が何か神秘性を汚すようなことやったり、妖怪の領域に踏み込んだりした場合など、自衛の為であるケースも多いです。

 

人間が妖怪を軽んじるような行動をしなければ、手助けしてくれたり、笑わせてくれたり、「キャラクター」として親しまれる存在でもありました。

 

妖怪とは恐い面だけではないのです。

 

妖怪の姿

妖怪の姿は時代によって変化します。妖怪とは人心の反映であり、時代によって人が何を「理解不能な現象」と感じるかは異なるからです。
時代をさかのぼればさかのぼるほど、その範囲は広がります。科学的なことが解明されていない時代ほど、理解できない存在は多かったのですから当然ですよね。