妖怪「恙虫」の伝承・正体・名前の由来
恙虫(ツツガムシ)は、ダニの妖怪。夜中寝静まった民家に忍び込み、人の生き血を吸う。

妖怪「恙虫」の伝承・正体・名前の由来


妖怪「恙虫」の伝承・正体・名前の由来
竹原春泉斎画「絵本百物語」より

 

 

恙虫の基本情報

表記・呼称 恙虫(ツツガムシ)
簡易解説 ダニの妖怪。夜中寝静まった民家に忍び込み、人の生き血を吸う。
危険度 ★★★★★★★★★★
容姿 人間型 動物型 植物型 器物型 建造物型 自然物型
能力・特性 吸血
伝承地 島根県
出現場所 山 水 里 屋敷
記録資料 絵本百物語
登場創作物

 

恙虫の危険性

危険性は高いです。伝承の中では、「夜人が寝静まった頃に民家に入り込んで、眠っている人の生き血を吸い、吸われた人は死んでしまう」とされています。七世紀中頃、石見国(現在の島根県)の山奥に「恙虫(つつがむし)」が現れ、多くの犠牲者を出したそうです。

 

恙虫の正体・生まれ

ツツガムシというのは、現実に存在するダニ科ツツガムシ科のダニの総称です。この種のダニの中には感染症を引き起こすものもあり、ワクチンなどない時代はそれが原因で死ぬことも珍しくありませんでした。昔の人にとっては原因不明の死でしかなく、体に赤く残る血を吸った跡を見て、血を吸う妖怪の仕業と考えました。

 

恙虫の名前の由来

「【恙(つつが)=病気や災い】をもたらす虫なので、恙虫(ツツガムシ)と呼ばれるようになりました。現代でも使われる「ツツガムシ」という呼称は、元々妖怪の呼称として使われていたものです。後にそれがダニの仕業とわかったので、それまで妖怪の呼称として使っていたものを、ダニの呼称として引き続き使ったのです。

 

【恙(つつが)=病気や災い】がない状態を指す言葉として、「つつがない」という慣用句が生まれました。