妖怪「女郎蜘蛛、絡新婦(じょろうぐも)」の伝承・正体・名前の由来

絡新婦(鳥山石燕『画図百鬼夜行』より)

 

女郎蜘蛛は水辺に現れる蜘蛛の妖怪で、人の足に糸を絡めて水中に引きずり込むといわれています。「絡新婦(じょろうぐも)」とも表記されますが、こちらは漢名(中国における名称)を当てた熟字訓です。当記事では女郎蜘蛛について、その正体・伝承・名前の由来などに焦点を当て、詳細に解説していきます。

 

 

女郎蜘蛛の伝承

女郎蜘蛛は日中は妖しく美しい女の姿をしていますが、夜になると大きな蜘蛛になり人間を襲うといいます。大きな蜘蛛が吐き出す青い煙が小さな蜘蛛になり、人間の生き血を吸うという言い伝えもあります。

 

妖怪に関する古典的な画集「画図百鬼夜行」には、火を吐く子蜘蛛たちを指揮する蜘蛛女の図が描かれています。また、江戸時代の怪談集「太平百物語」や「宿直草(とのいぐさ)」などの文献にも、人間の女性に化ける女郎蜘蛛の物語が収録されています。

 

若い女に化けた女郎蜘蛛が男に近づくという話が多いのは、クモの一種であるジョロウグモのメスがオスを食べてしまうという生態に由来しているのかもしれません。

 

多くの地域で伝わる女郎蜘蛛の伝承では、彼女が滝に棲むとされ、一人の男性が滝に引きずり込まれそうになりながらも、切り株を自身の代わりとして用いて逃れたという話が各地で語り継がれています。

 

静岡県の伝承

静岡県伊豆市の浄蓮の滝には、「女郎蜘蛛の伝説」があります。滝壺の近くにいた男の足に、一匹の美しい女郎蜘蛛が糸を巻きつけました。

 

糸に気づいた男は、その糸をはずして切り株に移すと、切り株は音を立てながら引き抜かれ、滝壺に飲み込まれていったという話です。それ以来、女郎蜘蛛が浄蓮の滝の主とされ、村人に恐れられていたといわれています。

 

宮城県の伝承

宮城県仙台市の賢淵(かしこぶち)にも同じような伝説があります。切り株が身代わりとなって淵に引き込まれたあと、水の中から「かしこい、かしこい」という声が聞こえたことから「賢淵」といわれるようになったそうです。賢淵では女郎蜘蛛が水難避けの神としてまつられています。

 

女郎蜘蛛の正体

女郎蜘蛛の正体は、400歳を超えた蜘蛛が女の姿に化けるという説や、恋人に捨てられた女が山に入ってその姿を蜘蛛へと変えたという説もあります。

 

女郎蜘蛛の名前の由来

女郎蜘蛛の名前の由来には諸説あります。クモの一種であるジョロウグモは、女郎蜘蛛や上搨w蛛と漢字で表記され、妖怪「女郎蜘蛛」のモデルだといわれています。腹の黒と黄色の模様が艶やかなことから「女郎」と名付けられたという説があります。さらに、大奥に仕える女官たちの中でも特に地位が高い「上掾iじょうろう)」が語源とされていると言われています。

 

女郎蜘蛛まとめ

以上、女郎蜘蛛について解説させていただきました。

 

日本では水の神が支配する世界と人間の住む世界のさかい目が水面であり、怪しいものたちが集まってくる場所と考えられてきました。人々は神秘的な滝壺に恐れを感じ、女郎蜘蛛の伝説がうまれたのかもしれませんね。

 

絡新婦が登場する作品としては、ドラマ「妖怪シェアハウス」、アニメ「どろろ」などがあります。興味のある方はぜひチェックしてみてください!