妖怪「金霊」の伝承・正体|実は銭の精?
金の精霊。善行に努めた者の家にやってきて、その家を豊かにするという。

妖怪「金霊」の伝承・正体|実は銭の精?


妖怪「金霊」の伝承・正体|実は銭の精?
鳥山石燕『今昔画図続百鬼』より

 

 

金霊の基本情報

表記・呼称 金霊(かねだま)
簡易解説 金の精霊。善行に努めた者の家にやってきて、その家を豊かにするという。
危険度 ★★★★★★★★★★
容姿 人間型 動物型 植物型 器物型 建造物型 自然物型
能力・特性 訪れた家を栄えさせる。
伝承地 東京都
出現場所 山 水 里 屋敷
記録資料 『今昔画図続百鬼』、『怪談摸摸夢字彙』
登場創作物 ゲゲゲの鬼太郎三期第65話「妖怪百目・地獄流し」、超神ビビューン第18話、忍者戦隊カクレンジャー第13話

 

金霊の正体・生まれ

怪火の一種とされていますが、生誕の伝承は不明です。銭の精が集まった姿であるともいわれています。

 

金霊の伝承

金霊は家に憑く妖怪で、善行に努めた家には金霊がやってきて裕福になるといわれています。ある日突然蔵の戸が開き、たくさんの金銭が沸いてくるのです。鳥山石燕による江戸時代の妖怪画集『今昔画図続百鬼』では、土蔵が大判小判で一杯になる様子が描かれています。

 

さらに石燕の解説文では以下のように書かれています。

 

「金だまは金気也 唐詩に 不貪夜識金銀気といへり 又論語にも富貴在天(ふうきてんにあり)と見えたり 人善事を成せば天より福をあたふる事 必然の理也」

 

文中で唐詩の「不貪夜識金銀気」、論語の「富貴在天」が引用されています。つまり善行を無欲で行う者にこそ富が訪れる、ということを象徴していると言っているのですね。

 

金霊に似た妖怪

■銭神(ぜにがみ)
同じ金の妖怪に「銭神(ぜにがみ)」という妖怪がいます。『古今百物語評判』で紹介されており、銭神が人家の軒先を通った所を刀で切れば銭がたくさんこぼれ落ちてくるといいます。銭神がくる前兆として、夕暮れ時に薄雲が立ちこめて、なにか声のようなものが聞こえてくるそうです。

 

■金玉(かなだま)
見た目は名前の通り、金色の玉もしくは光の玉で、手にした者の家は栄えるといわれています。東京都足立区では轟音と共に家に落ちてくると伝えられています。